fを複素上半面の有理関数(meromorphic function)とする。
が全ての
について成り立つとき、fを重さ(weight)の弱モジュラー(weakly modular)と呼ぶ。
と定義する。
kが負の値のときは発散するので考えない。
kが奇数のときは右辺は0になるので考えない。
k=2のときは右辺は収束しないので、別の定義を使う。
kが4以上のときは、右辺は収束するのでこの定義のままでよい。
kが4以上のときは、は重さkの弱モジュラーである。
現れる複雑な係数に煩わされるのを避けるため、
と定義して使う。
この定義はKoblitzのIntroduction to Elliptic Curves and Modular Formsの本によるものである。
(式A)
である。はベルヌーイ数である。
シグマは整数nを割り切る0より大きい整数のk乗の和である。
式(A)は4以上のkに対するだが、k=2の場合もwell-definedな式なので、
は式(A)を用いて定義する。
であり、k=2の場合だけ、弱モジュラーではない。
と定義する。
以下の3つが成り立つとき、関数f(z)をモジュラー形式(modular form)と呼ぶ
i) f(z)が弱モジュラーである。
ii) f(z)が有理関数である。
iii) zがのとき、f(z)が有限である。
さらに
iv)zがのとき、f(z)が0である。
が成り立つときは、カスプ形式(cusp form)と呼ぶ。
重さkのモジュラー形式の ベクトル空間をと表す。
その部分集合であるカスプ形式をで表す。
f, gを重さkのモジュラー形式とし、それぞれ
とし、 がについて成り立つとき、f=gが成り立つ。
これはモジュラー形式の強力な定理なので、2つのモジュラー形式が等しいかどうかを
有限個の係数の比較で済ませることができる。
任意のについて、fは次の形に表される。
http://www.few.vu.nl/~sdn249/modularforms16/Notes.pdf