やっと本命の定理です。
定理 Eを体K上の楕円曲線として、nを正の整数とする。
体Kの標数がnを割り切らないまたは0のとき、Eのn等分点のなす群はとの直積に等しい。
体Kの標数がp>0で, , であるとき、
または である。
この定理の証明はものすごく長いので、省略します。
知りたい方で時間がある方は、以下に載っていますので挑戦してみてください。
- 作者:Lawrence C. Washington
- 出版社/メーカー: Chapman and Hall/CRC
- 発売日: 2008/04/07
- メディア: ハードカバー
ここでは、体Kの標数が0より大きい整数で、nを割り切らない場合だけを考えます。
そのとき、
です。
これは、前にやった演算の表で表すと、
x | x2 | x3 | .. | xn-1 | y | y2 | y3 | .. | yn-1 | xy | x2 y | x y2 | x2 y2 | .. | xn-1 yn-1 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
x | ||||||||||||||||
x2 | ||||||||||||||||
.. |
のようになっていることを意味します。
この表では群の演算を乗算で表現していますが、楕円曲線の点は加算で表現しますので、これ以降は加算の記号を使います。
この群の元は2つの巡回群の直積ですから、xを yを で表すと、
任意の元は (mは整数, と表現できます。
ここで、から への同型写像(isomorphism) を考えます。
同型写像とは、全単射(bijective)な準同型写像(homomorphism)のことです。
元の写像はと書け、
元の写像はと書けます。
したがって、この同型写像 は 行列
$$ \left( \begin{array}{ccc} m_1 & m_2 \\ l_1 & l_2 \\ \end{array} \right) $$
で表現されるということが分かります。