isogeny関連でvelu's formulaというものがあります。
まずは、体についてのおさらいをしておきます。
体Kは標数が0または素数pです。
標数の定義
体Kの乗法の単位元を標数個加算したものが加法の単位元になるということです。
をどれだけ足してもにならない場合は標数0と定義します。
ここでは有限体にしか興味がないので、標数は素数pとなります。
有限体の場合、その体の元の個数は素数べきになります。
qを素数とすると元の個数はのいずれかということになります。
Velu's formulaを簡略化したものを大雑把に言うと次のようになります。
で与えられる体K上の楕円曲線に対して、
楕円曲線の有限部分群Cを考える。
からへの分離可能な同種写像が存在し、それはを満たす。
Cは部分群、は2等分点、はのyの値をマイナス化したものです。
コンピュータで計算する場合は、部分群の全ての有理点の計算が必要ということになります。
Velu's formulaでは体Kとなっていますが、今は有限体にしか興味がないので、体Kは有限体とします。
体Kは(pは素数)やということになりますが、ここではの場合を考えます。
有限体の閉包の部分群となると、一番簡単なのが、(pは素数)で、その次が、となりますが、
こちらの部分群もを考えます。
次の定理が成り立ちます。
次の2つは同値である。
1. (qは素数べき)上の2つの楕円曲線について、2つの楕円曲線の有理点の数が等しい。
2. は同種写像である。
以下2つの楕円曲線を上で考えると、どちらの楕円曲線も位数は1956である。
1956を素因数分解すると以下のようになる。
Velu's formulaで同種写像を求めるには、位数1956の群の部分群を考ることになるが、手計算でもできるように位数2を考える。
ちなみに、位数が小さい有理点を以下にあげておく。
P1671 (1702, 0) order 2
P495 (522, 89) order 3
P496 (522, 1914) order 3
P629 (637, 385) order 4
P630 (637, 1618) order 4
P931 (936, 842) order 6
P932 (936, 1161) order 6
P1209 (1207, 720) order 12
P1210 (1207, 1283) order 12
位数2の同種写像
位数2の部分群は無限遠点を除くと1点しかないので和は一つでよいので計算が楽である。
位数2のisogenyを計算してみよう。
a = 1132, b = 278
ここまででであることが分かりました。
位数3の同種写像
位数3の場合は無限遠点以外に2つの点がありますが、2つのxの値は同じなので、どちらか一つの点だけの和となり、計算が楽です。
a= 1132,b = 278