量子コンピュータの原理を調べているが、結局のところ、使っている数学は、線形代数と離散フーリエ変換くらいである。
この記事では、ドイッチのゲートの計算を確かめる。
なお、基礎的な量子論理ゲートである、アダマールゲート、制御ユニタリゲート、制御NOTゲートの知識があることを前提とする。
以下の形のものはドイッチのゲートと呼ばれている。
左側の入力が量子ビット2つ、右側の出力が量子ビット2つである。計算する際、上側を第1ビット、下側を第2ビットとする。
はxが0, 1の値に応じて0,1の値を返す任意の関数を表している。
任意とはいっても入力が2種類、出力が2種類しかないので、実質以下の4種類しかない。
示したい定理は、以下である。
入力を
としたとき
(式A)
である。
場合の数は多くないので、4つのパターンを全て計算して、検証することが可能である。
まず、パターン1の場合を計算してみる。アダマールゲートは
なので、
4つのパターンで計算してみると、
パターン1: f(0)=0, f(1) = 0
パターン2: f(0)=0, f(1) = 1
パターン3: f(0)=1, f(1) = 0
パターン4: f(0)=1, f(1) = 1
これで(式A)が確かめられた。
また、
であるから、4つのパターンで計算すると、
となるので、
と書けることが分かる。
これはf(x)の4パターンの加算処理をいくつかのゲートを使ってはいるが同時平行に行っていることになる。