Pebble Coding

ソフトウェアエンジニアによるIT技術、数学の備忘録

素体の代数閉包(algebraic closure)

素体の閉包のイメージを掴んでおきます。

 F_3を考えます。この体は0, 1, 2の3つの元を持ちます。
加法の表はこうなります。

0 1 2
0 0 1 2
1 1 2 0
2 2 0 1

乗法の表はこうなります。

0 1 2
0 0 0 0
1 0 1 2
2 0 2 1

 F_{3^{2}}を考えます。この体は9つの元を持ちます。
9つの元は、例えば、 0, 1, 2, \sqrt {2}, 1 + \sqrt {2}, 2 + \sqrt {2}, - \sqrt {2}, 1 - \sqrt {2}, 2 - \sqrt {2}となります。
加法、乗法の表は示しませんが、体となっていることが確認できると思います。
この体は一般的に特定の条件を満たす2次方程式の2つの独立した解を F_3に追加することで得られます。
ここでは、 x^{2} - 2 = 0の解である2つの値 x = \pm \sqrt {2} を追加しています。

 F_{3^{3}}を考えます。この体は27個の元を持ちます。
27個の元は例えば3次方程式 x^{3} - 2 = 0の3つの独立した解を F_3に追加することで得られます。
3つの解は  \sqrt[3] {2}, \sqrt[3] {2} \cdot \frac {-1 \pm \sqrt {3} i} {2} となります。27個の元の具体的な形は想像がつくと思います。

これを繰り返していくといくらでも大きな体 F_{p^{n}}が作れることが想像できるでしょう。
この体の元の数は p^{n}であり、有限個です。

 \overline {F}_p = \bigcup_{n \ge 1}^{\inf} F_{p^{n}}と定義します。
上で作った拡大体を全て結合して極限を取ったものです。 これを代数閉包(algebraic closure)と呼びます。
この体の元の数は無限個です。

参考:
https://it1.jp/?p=1050

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